審査委員長総評
尾道市立大学経済情報学部 准教授 小川 長
今回は、自薦、他薦を合わせて35の候補店の中から、予選と本選を経て「第一回ええみせじゃん尾道」の入賞店舗を選出した。ボクは審査員として最初から最後まで、すべての店舗訪問に立ち合ってきたけれど、それぞれのお店で、みなさんが一所懸命に働いておられる姿にはとても心打たれるものがあって、これまでもずっと、こうして一軒一軒のお店で、働くひと一人一人が額に汗して累々と続けてこられた努力によって、「商都尾道」が作り上げられてきたのだろうと改めて思った。
今回候補に挙げられた店舗は、業種は言うまでもなく、それぞれの商売の力点も様々だったので、それを比較するというのは至難の業で、甲乙付け難い作業だったけれど、第一回目ということもあり、最後の最後は「尾道らしさ」ということを念頭に決定した。「尾道らしさ」というのは、ちょっと漠然とした感じだけど、尾道のお店が好きだという人たちの多くは、今回選ばれた店舗のように人情深く、やさしく暖かく、でも、ちょっと頑固かなと思わせるぐらいの考えとこだわりを持って商売に取り組んでおられる姿が、やっぱり好きなはずだから、尾道で働く人みんながこれからも、こうした「尾道らしさ」を大切に持ち続けていかなければならないと思ったからだ。
今後、この「ええみせじゃん尾道」が、どこにでも転がっているような月並みで陳腐なコンテストではなくて、尾道で商売をする人たちが、お互いに一年間、この尾道で一所懸命、共に働いてきたことを喜び合い、それを周りの人たちみんなが心から讃え合えるような、そんな企画に育って欲しいと思っているし、そんな気持ちの輪が尾道から全国に広がっていけば、本当に素敵だなと思う。実を言うと、そんなことのできる可能性を秘めているところが、まさに「尾道らしさ」の持つ力なんじゃないかなとボクは考えている。