第7回審査委員長総評

審査委員長総評

尾道市立大学経済情報学部 教授 小川 長

 今年で、「ええみせじゃん尾道」は7回目となった。個人的なことながら、今年は大きな変化があった。と言うのは、初回から6年の間、審査員として予選から全店を審査してきたというボクの大記録が、ついに途切れてしまったのである。ボク自身、尾道市立大学(その当時は尾道大学であったが、大学が法人化されて途中から大学名が変わった。時代の流れとは、実にこうしたものなのだろう)に奉職したその年から、この「ええみせじゃん尾道」の審査に携わってきたが、こんなボクでもついに学務に追われるような立場となってしまい、今年は予選の大変な審査作業を、信頼すべき同僚の後藤祐一准教授にお願いし、今回は最終審査だけをボクが担当することになった次第である。
 そう思っていると、当初からこの企画を手掛けてきた尾道商工会議所の担当メンバーも管理職として忙しくなったせいか、今年から新しい担当者にバトンが手渡された。こうして、7年という期間を想うと感慨深いものがあるのだが、不思議なのは「ええみせじゃん尾道」にノミネートされてくるお店が、まったく古臭さ…つまり時の流れを感じさせないことである。こんな風に感じるのはボクだけなのだろうか。もちろんピチピチした新しいお店もあるが、そうした新しいお店も歴史のある古くからのお店も、いい店というものは、いつも活き活きと生きているものなのである。もちろんボクだって生きている訳だけど、そのうちボクの生命は尽きる。その点、お店には明確な寿命というものがない。何代にも亘って引き継がれ、その時代々々に色々な人がそこで働き、多くのお客様が入れ替わり立ち替わり出入りし、こうして間違いなく時は流れているのに、尾道のお店はいつも活き活きと生きているのである。こうしたお店が多いから、みんなは尾道が好きなのだと思うし、遠くからでもみんなが集まってくるのだと思う。
 今年の「ええみせじゃん尾道」のエントリー数は、44店舗だったということである。その中から、13店舗が最終審査に上がってきた。今回ボクは、そこを一軒一軒見せていただいたのであるが、実を言うと、中には「ええみせじゃん尾道」で顔なじみになったお店も何軒かあった。もちろん、いいお店はそれなりに推薦が絶えない訳なのだが、協議の結果、より多くのいいお店をみなさんにご紹介しようということになった。回を重ねるにしたがって、こうした問題が出てくるのは頭の痛いところであり、今後工夫しなければならない点である。
 しかし、それだからと言って、今回選ばれた4店舗に全く遜色はない…それどころか、秀逸のお店である。どこもボクが胸を張って、本当に尾道のいい店だと言えるお店である。あなたも、ぜひ行って御覧なさい。楽しいから美味しいから、ぜひ尾道に来て、これらのお店に行って御覧なさい…とても、人が温かいから。