第6回審査委員長総評

審査委員長総評

尾道市立大学経済情報学部 准教授 小川 長

 今年で、「ええみせじゃん尾道」は6回目を迎えた。この企画がスタートした年のピカピカの小学校1年生は、今や最年長6年生のお兄さん、お姉さんである。また、初々しかった中学校1年生は、既に高校3年生で受験勉強や就職活動に追われ、今や選挙権さえ持っている。さらに、当初この企画を手掛け、ここまで育ててきた尾道商工会議所の若手職員だった担当メンバーも、今や立派な管理職となっている。6年という年月は、まさにそういう日々の営みが積み重なった長さなのである。
 その「ええみせじゃん尾道」に、今年は1つの革新が起きた。尾道商工会議所が、率先して地元商工業者に範を示したイノベーションである。と言うのは、これまで基本的に尾道商工会議所管轄エリア内で行われていた「ええみせじゃん尾道」を、もっと広域に、文字通り“オール尾道”でやろうじゃないかと、因島商工会議所と、しまなみ商工会に呼び掛けて、よし、みんなでやろうやろうということになった。これぞ尾道の底力、見事なノリ、素晴らしいアライアンスである。
 そのような訳で、今回は向島、因島、瀬戸田の各エリアから、いろいろな業種のさまざまな規模の、それぞれ素敵な顔を持つ店舗がエントリーされ、それを迎え撃つ、こちらも新旧・大小バラエティに富んだ旧市街エリアの魅力的な店舗と合わせて、エントリー数は計76店舗と前回までの店舗数を遥かに凌ぐ、過去最高の大激戦となった。その中から、今年も一軒一軒、厳正な予選審査と本選審査を経て、6店舗の表彰店が選出された。
 今回の表彰店をご覧いただくと、実に個性的である。ボクは、月並みな言い方は鼻に付いてキライなんだけど、そのボクが「個性が輝いている!」と思わず口走ってしまうほど、個性的である。「こんなところに、そんな店があったのか!」、「この店では、そんなものを売ってるのか!」、「この店って、そんなことまでやってるのか!」。これが、「ええみせじゃん尾道」6年目に突入した審査委員長(つまり、ボク)の叫びである。もし、ウソだと思ったら、ぜひ行ってみて下さい。あなたもきっと叫びます、「個性が輝いている!」と。
 本当に尾道っていう町は、華麗な技を持つマジシャンのシルクハットみたいな町で、次から次へと素敵な店が飛び出してくる。過去5年で、既に魅力的な25店舗が飛び出してきているにもかかわらず、今回も堂々と推薦できる新しい表彰店が6店舗も勢ぞろいした。特に今回、美しい瀬戸内の島々からの新しい三つのシルクハットが加わったので、今後もますます、次から次に新しい“ええみせ”が出てくるに違いない。また、ここだけの耳寄り情報であるが、今回の“しまなみ”地区に加えて、次回からは“やまなみ”地区の参戦も期待できそうである。つまり、もう一つ新しいシルクハットが増えて、来年はより広く、みなさんの「個性が輝いている!」という叫び声が、この尾道に響き渡ることになりそうな予感が、今からしているのである。